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自己破産前にやるべき準備8選|後悔しないために必要な行動とは?

はじめに|なぜ「準備」が重要なのか?

自己破産は、人生における大きな決断のひとつです。しかし、しっかりと準備をしないまま手続きを進めてしまうと、後々大きな混乱や後悔を招くことになります。私は実際に自己破産を経験しましたが、その過程で「もっと早く知っておけばよかった」と思うことがたくさんありました。

家族への説明や心の準備、生活費の見直し、財産の棚卸しなど、事前にできることは多くあります。破産は法律上の手続きですが、その裏には「生活」や「人間関係」といった複雑な要素が絡みます。

また、破産手続きは申立金額や財産の状況によって期間が長引くこともあります。心配しなくても、具体的な申立て準備は弁護士の指示に従えば大丈夫です。ただ、心構えや家庭の理解がないと、精神的なストレスは何倍にもなるのです。

この記事では、私自身の体験をもとに、自己破産前にやっておくべき準備や考え方について詳しく紹介します。これから自己破産を検討している方の参考になれば幸いです。


目次

自己破産前にやるべき準備リスト

1. 自己破産によるデメリットを「正しく」知る

自己破産は、すべての借金をゼロにできるという大きなメリットがありますが、当然ながらデメリットも存在します。

特に誤解されやすいのが、自己破産によって「家族に迷惑がかかる」「会社をクビになる」などの影響です。これらは正確には事実ではなく、自己破産の正しい知識を持つことで不要な不安を取り除くことができます。

自己破産による主なデメリットは以下の通りです:

  • クレジットカードやローンの契約が5〜7年間できなくなる
  • 一部の士業では資格制限がある
  • 20万円以上の資産を失う
  • 官報に名前が掲載される

私自身、破産後にスマホを買い替えようとした際、分割払いができないことをすっかり忘れていてショックを受けました。このように、事前に知っておけば避けられたストレスも多くあります。

また、「20万以上の資産を失う」は管財事件になると99万円まで資産の保有が認められます。
資産について気を付けてほしいのが、保険の解約返戻金や賃貸の場合は敷金や保証金も含まれるという点です。
それらを差し引くと10万円以下になることもあると思うので注意してください。

「官報に名前が掲載される」に関して、もしかしたら知人や友人にバレたり広まったりしないかとも思いましたが、
その心配は全くありませんでした。基本的にはクレジットカードやローンの契約がしばらくできないことが一番のデメリットと考えておいてください。

2. 保証人がいる場合は事前に相談する

忘れがちなのが「保証人の存在」です。特に奨学金などで親が保証人になっているケースが多く、自分でも気づかないことがあります。

私の場合、母が奨学金の保証人になっており、約30万円の残債がありました。申し立て前に母に相談しましたが、幸いなことに取り立てはまだ始まっていませんでした。奨学金は回収が遅いケースもありますが、放置するのは危険です。保証人への事前連絡は必須です。

3. 家計・資産の棚卸しをする

破産申立てには、資産の明細提出が必要になります。現金、預金、保険、車、不動産など、自分が保有している資産を一度整理しておくとよいです。

私の場合、車は妻名義だったので対象外となりました。ただし、自己破産直前に所有権を妻に移すような行為はNGです。免責不許可になるリスクがあるため、慎重に行動する必要があります。

私も家の名義変更を考えましたが、調べた結果「むしろ逆効果」であることを知り、思いとどまりました。

4. 毎月の支出と生活費を見直す

破産後の生活は一時的に厳しくなります。生活を支えるために、家族と協力し、支出を見直すことが重要です。

私の家庭では、妻がすべて任せてくれていましたが、それを改めて、毎月家計簿を作成・共有するようにしました。その中で、互助会や生命保険など見直せる支出も見つかりました。

外食の回数は減り、自炊が増えました。その結果、料理スキルも上がり、妻との関係もより良くなった気がします。


5. 家族への説明と話し合い

自己破産という言葉は、家族にとっても重くのしかかる現実です。特に、小さな子どもがいる家庭では、「どこまで説明すれば良いのか」と悩む方も多いと思います。私自身も、まさにその問題に直面しました。

当時、わが家には小学生の子どもがいました。正直にすべてを伝えるべきか、悩みましたが、最終的には「生活が苦しいから引っ越すことになった」とだけ伝えるにとどめました。子どもは親の感情を敏感に察知します。もし、「借金が返せない」や「破産する」といった言葉を使ってしまえば、子どもの中に不安や恐怖が残ってしまう可能性があります。だからこそ、子どもにはできるだけ日常を崩さない形で説明することが重要だと思いました。

一方で、パートナーには正直にすべてを伝えることにしました。実は、これが最も勇気のいる行動でした。私の失敗が家計や家族に直接的な影響を与えることを思うと、言い出すのが本当に怖かったのです。しかし、結論から言えば、伝えてよかったと思っています。私の妻は比較的楽観的な性格で、私の話を落ち着いて聞き、感情的にならずに受け止めてくれました。もちろん、涙は流しました。現実の重さに圧倒された日もありました。それでも彼女は、家族として私の横に立ってくれました。

夫婦間の信頼関係は、自己破産後の生活再建において最も重要な土台です。どれだけ大変な状況でも、共に現実を直視し、支え合っていけるかどうかで、その後の人生の流れが大きく変わってきます。実際、私たちは家計をオープンにし、お互いの収支や支出を把握しながら協力し合う体制を築いていきました。これは、自己破産を通じて得た大きな学びのひとつです。


6. 信頼できる弁護士を探す

自己破産は、専門家の力なくしては成立しません。特に、債権者が多い場合や資産状況が複雑な場合は、弁護士の存在が非常に心強いものとなります。私の場合は、義母の紹介で弁護士の先生を紹介していただきました。

弁護士を選ぶ際に大切にしたのは、話していて違和感がないこと、人間的な温かみがあるかどうか、そして「この人なら親身になってくれそうだ」と思えるかどうかです。どんなに法律に詳しくても、機械的で一方的な対応をされては、こちらの気持ちが持ちません。とくに精神的に追い込まれている時期ですから、「この人に全部話しても大丈夫」と思える相手であることが大切です。

また、もし弁護士費用がネックになる場合には、法テラス(日本司法支援センター)の利用も検討できます。法テラスを通じて申し込めば、弁護士費用の立替や分割払いが可能です。経済的に困窮している方にはありがたい制度だと思います。

ただし、デメリットもあります。たとえば、法テラスを利用すると、弁護士を自分で選ぶことができなかったり、着手までに時間がかかったりします。私自身は紹介だったため、自分に合った弁護士に早期に相談できたことは幸運でした。選べる余地があるなら、自分が信頼できると思える相手をしっかり見極めることをおすすめします。


7. 書類の準備・収集

自己破産の申立てには、膨大な数の書類が必要です。具体的には、住民票、所得証明、通帳のコピー(過去2年分)、給与明細、クレジットカードやローンの利用明細、債権者一覧、資産状況の報告など、多岐にわたります。

私の場合、借入先が20社以上あり、カードローンやクレジットカードも複数枚に及んでいたため、それぞれの明細を取り寄せるだけでも一苦労でした。最終的には借入総額が1億5000万円を超えており、それを整理し、一覧表にまとめる作業は、精神的にも肉体的にも大きな負担でした。何度も「これ、本当に終わるのか…?」と心が折れかけました。

特に注意すべきなのは、「通帳のコピーをすべて取る」という点です。過去の収入や支出がきちんと記録されているか、贈与や不自然な出金がないかなどを裁判所は細かく見ています。「これくらいは大丈夫だろう」と油断せずに、正確な情報をそろえることが大切です。

時間に余裕を持って、段階的に準備を進めることを強くおすすめします。

8. 嘘をつかない覚悟を持つ

そして、自己破産を進める中で何よりも重要なのが「嘘をつかないこと」です。

弁護士にも、裁判所にも、そして自分自身にも、正直であることが必要です。財産を隠したり、都合の悪い情報を曖昧にしたりすると、最悪の場合、免責が認められず、借金が帳消しにならないという事態に陥ることもあります。

もちろん、すべてをさらけ出すのは勇気がいります。「こんなに情けない姿を見せたくない」と思うのも自然です。しかし、正直に伝えることでしか、心からの再出発はできません。私もすべての借金、使い道、生活状況を正直に話しました。その過程で心が軽くなる瞬間が何度もありました。「隠さずに済む」ことが、どれほど安心感につながるかを身をもって実感しました。

やっておいてよかったこと・やらなくて後悔したこと

やっておいてよかった準備

自己破産を迎えるにあたって、事前にやっておいて本当に良かったと感じる準備がいくつかあります。

まず、妻、母、姉夫婦といった家族に正直に現状を伝えたことです。言いにくいことではありましたが、信頼している人たちに正直に話すことで、自分の中の「隠しごと」が減り、精神的にかなり楽になりました。家族の理解と支えがあったからこそ、破産手続きを冷静に進めることができたと思います。

また、妻の出産前に引越しを済ませたことも重要な判断でした。生活環境を整えておくことで、赤ちゃんが生まれた後の混乱を最小限に抑えることができました。

さらに、自己破産前にリスティング広告という新たな事業をスタートし、収入源を確保できていたのも大きかったです。たとえ小さな収入でも、自力で稼げる手段があることで、心の余裕が生まれます。これらの準備があったからこそ、破産後の生活も大きく崩れることなく、前を向いて再スタートを切ることができました。

やらなくて後悔した準備

一方で、「もっと早く動いていれば」と後悔していることもあります。

何より、もっと早く誰かに相談していれば良かったということ。資金繰りが限界に近づいていたのに、プライドが邪魔をして「何とかなる」と思い込んでいた自分がいました。結果的に、選択肢がどんどん狭まり、苦しい状況を長引かせてしまいました。

今振り返って、「もし過去に家を妻名義にしておけば…」と考えることもありますが、それは結果論であり、リスクの高い選択だったとも思います。資産隠しと見なされる可能性もあり、むしろ正攻法で向き合ってよかったと今は思っています。

失敗を悔やむより、そこから何を学んで次に活かすか。これが破産という経験から得た、一番の教訓です。


まとめ|準備が「再出発」のスムーズさを決める

自己破産は決して「終わり」ではありません。借金という大きな荷物を手放し、新たなスタートを切るための大きな一歩です。

その一歩をスムーズに踏み出すためには、「準備」が欠かせません。家族との信頼関係、正直さ、生活の見直し――これらが、再出発の基盤になります。

今悩んでいるあなたが、この記事を読んで少しでも不安を和らげられたなら嬉しく思います。過去の私がそうであったように、「知ること」「準備すること」は、未来を明るくする一歩です。

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