まさか自分が“自己破産”するなんて、夢にも思いませんでした——。
これは、年商2億円近くを誇った物販会社を経営していた私が、信頼していた人たちの投資話に乗って転落していったリアルな体験です。きっと、同じような悩みを抱えている方の力になれると思い、すべてを赤裸々に綴ります。
はじめに

当時私は物販の会社を経営していました。社員はいませんでしたが、主婦の方を中心に、仕入れや発送を担う外注スタッフが10人ほど。年商は2億円近くあり、一定の成果を出していた時期でした。
その頃、6歳の子どもがいる妻と結婚。すぐに妻の妊娠が分かり、子どもが小学校に上がるタイミングだったため、急いで建売の戸建てを購入して家族で暮らし始めました。
年商2億の会社が直面した最初の違和感

ちょうどその頃、コロナ禍によって銀行や信用金庫からの融資が受けやすくなっていました。
私の会社も信用金庫に3000万円の融資を依頼したところ、「この売上なら6000万円まで可能です」と提案を受け、最終的に6000万円の融資が実行。また、日本政策金融公庫からも1200万円の融資を受け、合計7200万円の資金調達に成功しました。
キャッシュフローには困っていませんでしたが、「安全に投資できる先があれば」と思っていた矢先、2人の知人からそれぞれ「物販投資」の話が舞い込んできました。
それぞれに3000万円、2000万円を預けることに。初月はどちらも利益が振り込まれていたため安心していましたが、徐々に様子がおかしくなっていきます。
信頼していた相手からの投資話とその経緯

なぜそんな大金を預けたのか——。それは、どちらの話も「信頼していた人」からのものだったからです。
3000万円:物販コンサルFさんの紹介
Fさんは、私が物販で軌道に乗った頃に所属していたコンサルグループの運営者。年商10億円以上の実績があり、補助金や助成金、税理士紹介など多方面でお世話になっていました。
お金を投資したきっかけは、Fさんから紹介された話でした。内容としては、Fさんの知り合いの会社が海外で高級時計を買い付け、それを国内で販売し、その利益の一部を出資者に還元するというスキームです。投資金額の5%が毎月利益として振り込まれるという内容で、冷静に考えれば利回りが高すぎる話でしたが、Fさんの独自ルートの話であり、表には出ていない案件でした。私としてもFさんを長く尊敬し信頼しており、「これまで一生懸命頑張ってきたのだから、こういう話が舞い込んでもいいのかもしれない」と、詳しく調べもせずに3000万円を入金してしまいました。
2000万円:Oさんの紹介
一方の2000万円の案件は、別のコンサルグループで知り合ったOさんからの紹介でした。真面目で誠実な方という印象で、ご本人も出資していると聞き、「この人の紹介なら大丈夫だろう」と判断したのです。こちらは月利10%という内容で、月に1回引き出しができるという点も安心材料になっていました。すでに3000万円を投資した直後だったこともあり、感覚が麻痺していたのかもしれません。
資金繰りが崩れ始めたタイミング

どちらの投資も、最初の1ヶ月目には予定通り利益が振り込まれました。これで一安心だと思っていました。
しかし、Fさんの紹介してきた物販投資の方は、2ヶ月目から入金が遅れ始めました。海外で買い付けを行っている会社代表者とは、同じように投資しているグループでLINEのやり取りをすることになりましたが、2回目の入金以降は「今月振り込みます」と言いつつ「すみません、来月になります」の繰り返しでした。
それでも、Fさん自身も同じ案件に投資していたこと、そして長年付き合いのある信頼できる方からの紹介だったこともあり、「最悪の場合でもFさんがなんとかしてくれるだろう」と、当時はそれほど危機感を持っていませんでした。
一方、Oさんから紹介された投資案件は、最初の4ヶ月ほどは、2週間に1度のペースで入金があり、こちらは順調に見えました。しかし、5ヶ月目以降、急に入金が止まり、不安が一気に現実味を帯びてきました。
自己破産を決断したきっかけ

そんな中、妻が次女を出産。まだ融資の残金があったため、「しばらくすれば振込も再開されるだろう」と、どこかで楽観的に考えていました。
しかし振込は一向に再開されず、そんな矢先、妻の第3子妊娠が判明。
「もしこのまま出産して、資金が尽きて自己破産になったら——」
「家を差し押さえられたり、家族に影響が出たら——」
そう思った私は、出産ギリギリではなく、少しでも早いタイミングで自己破産した方が妻の精神的負担も軽く済むと判断し、ついに決断したのです。
この体験から伝えたいこと

私がこの話を綴ったのは、「信頼できる人からの投資話」でも冷静に見極めなければならないということを伝えたいからです。
・クローズドな情報
・実績ある人からの紹介
・物販投資という自分がいる業界の話
こうした“バイアス”が、冷静な判断を鈍らせました。
もし、この記事を読んでいるあなたが、今まさに「うまい話」に心を動かされているなら、一度立ち止まって考えてみてください。
「自分で徹底的に調べたのか?」
「詐欺だった場合、責任をとってくれる人なのか?」
「楽な方に逃げようとしているだけじゃないのか?」
この体験が、あなたの判断の一助となることを願っています。