はじめに
「自己破産」と聞くと、すぐに人生が終わったかのように感じる人も多いかもしれません。でも実際には、破産は再スタートのための制度です。ただし、免責許可が下りるまでは簡単な道のりではなく、特に「破産管財人」とのやりとりでは精神的にもかなりの負荷がかかります。
私が実際に免責許可を得るまでにかかった期間は約1年半。その間に味わった不安、緊張、そして精神的な負担は、簡単には言葉にできないほどでした。

この記事では、私自身が免責を得るまでに「実際に気をつけていたこと」「やらなくてよかったと実感していること」について、リアルな体験をもとにまとめていきます。
自己破産の一般的な流れと、私の場合の特異性
まずは自己破産の基本的な流れを確認しておきましょう。
一般的な自己破産の流れ(目安期間)
- 弁護士への相談・依頼・受任通知の発送(0〜3日)
- 申立て書類の作成(1〜3ヶ月)
- 裁判所での面接→自己破産手続開始決定(2〜3ヶ月)
- (管財事件の場合)破産管財人による財産の処分や債権者集会(2〜3ヶ月)
- 免責審尋・免責の確定
これで大体半年〜1年程度が目安となります。
私の場合はこうだった
私の場合は、
- 法人破産との並行処理
- 借入総額が大きかった
- 一部資産があった
という理由もあり、申立て書類の作成だけで4〜5ヶ月。
そこから管財人が選任され、免責確定までにさらに10ヶ月。
弁護士とのやり取りは安心材料だった
正直に言うと、手続きが始まってからも「本当にこれで終わるのか?」という不安は消えませんでした。
ですが、破産を依頼した弁護士さんとは頻繁に連絡を取ることができ、精神的な支えになりました。
- 疑問点はすぐに確認できる
- 提出書類もチェックしてもらえる
- 書類作成のアドバイスも的確
こうした「専門家の伴走」があったおかげで、パニックになることなく進められたと思います。
人生の再スタートを切るために選んだ「自己破産」という道。
最も神経を使ったのは「管財人とのやり取り」

ただし、破産管財人とのやり取りは別物でした。
選ばれたのは別の弁護士さんで、常に“監視されている感覚”があり、緊張が続きました。
管財人がつくかどうかの判断基準
破産申立てをすると、
- 少額管財事件(簡略型)
- 通常の破産管財事件
のいずれかになります。
資産や借入の内容、債権者数などによって変わります。
私の場合は資産も一定あり、金額も大きかったため、通常の管財事件となりました。
嘘やごまかしは絶対にNG
管財人は、提出された書類や面談内容をもとに、裁判所へ「この人に免責を認めてよいかどうか」の報告をします。
そのため、少しでも不誠実な対応をすると、すぐに信頼を失います。
- 資産の申告漏れ
- 所得のごまかし
- 質問に対して適当な回答
こうした行為は、免責不許可事由に該当する可能性が非常に高いです。
「どうせバレないだろう」と思って隠すことは、後々自分を追い詰めるだけになります。
財産隠しは絶対にしないこと

破産手続きにおいて、最もやってはいけないのが「財産隠し」です。
中には「せめて100万円だけでも…」と考える人もいるかもしれません。
ですが、それは絶対にやめてください。
破産管財人の弁護士からも、過去に財産隠しをして免責が下りなかった人の話を聞きました。
免責されなければ、借金の返済義務が残ります。
それだけではなく、「財産隠し」が裁判所に発覚すると、再チャレンジも難しくなるリスクがあります。
反省文の提出とその重要性

私の場合は免責不許可事由として、FX取引(投機的取引)による著しい財産減少がありましたので、
直筆の反省文を作成、提出してくださいと破産管財人から指示がありました。
反省文とは?
ちなみに反省文とは、
- 債務増加の経緯を踏まえた反省
- なぜ返済できなくなったのか
- 現在どう反省し、二度と破産しないようにするためにどうしていくか
などをまとめた文章です。
裁量免責のために必要なもので、私はこれを何度も弁護士とやり取りしながら修正し、
最終的に管財人に提出しました。
その後、裁判官の判断材料として使われました。
この反省文によって、FXによる破産という一般的に厳しい判断がされやすいケースでも、最終的に免責が認められたのだと感じています。
債権者集会での緊張感と、支えてくれた家族

債権者集会は、破産手続きの中で最も緊張した場面の一つです。
私は合計3回、裁判所に出向くことになりました。
特に3回目の債権者集会では、その場で免責の可否について言及される可能性があるとのことで、かなり緊張していました。
当日は、妻に車で送ってもらったのですが、
車中でも無言になってしまうほど、胃が痛くなる思いをしていました。
家族の存在がなければ、精神的に持ちこたえられなかったかもしれません。
誠実さが最大の武器になる
自己破産は、ただ書類を提出して終わるものではありません。
破産管財人、裁判官、そして弁護士という「他人」に、どれだけ誠実に向き合えるかが試されます。
- 財産をごまかさない
- 質問には真摯に答える
- 過去の過ちを認め、反省する姿勢を見せる
こうした行動が、免責の判断に大きく影響してくるのです。
まとめ:再出発のために「正直に、誠実に」
免責許可が下りるまでの道のりは、決して楽なものではありません。
けれど、そこで大切なのは「正直さ」と「誠実さ」でした。
どんなに辛くても、
- 隠しごとはしない
- 質問に対しては真摯に答える
- 法律のプロの意見に素直に従う
この3つを徹底することで、結果的には最短ルートで免責にたどり着けたと思っています。
これから破産を考えている方、破産手続き中の方にとって、少しでも参考になれば幸いです。