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妻に自己破産を伝えた日。泣きながらも支えてくれた話

私は以前、物販で年商2億円の会社を経営していましたが、知人を通じて投資詐欺に遭い、最終的に自己破産を経験しました。
この記事では、その中でも「妻に自己破産することを伝えた日のこと」にフォーカスしてお話しします。

目次

伝えるしかなかった自己破産

妊娠中の妻に打ち明けられなかった現実

3人目の子どもを妻が妊娠していたころ、すでに入金が長い間滞り始めており、資金の流れは明らかに怪しくなっていました。
それでも、私はその現状を妻には伝えられずにいました。
妻は毎日穏やかで、幸せそうに笑っていて、そんな姿を見るたびに「自分のしてきたことは、取り返しのつかないことだった」と受け入れるのが怖かったのです。

それでも時々、投資話を紹介してくれ、自身も投資しているOさんと話をしては、「なんとかなるよね」と言い合って、気持ちを紛らわせていました。
しかし、融資を含めた手元資金がついに1,000万円を切り、毎月かかる生活費・固定費・融資返済を合わせて約80万円が必要な状況になったとき、いよいよ「本当にヤバい」と強く危機感を覚えました。

最悪の選択肢まで考えた日々

この頃からは、自己破産という選択肢も含め、万が一の時にどうしたら一番いいのかを真剣に考えるようになっていました。
家族の生活がこのまま続かなくなるくらいなら、いざというときは自分に生命保険をかけて命を絶ったほうがいいのでは…と、そんな極端なことすら考えました。

でも、妻は私のことを本当に大切に思ってくれていて、その気持ちは日々の言動から痛いほど伝わってきていました。
そして、彼女はとても純粋でまっすぐな人です。もし私が死んでしまったら、きっと妻も精神的に追い詰められてしまうのではないか――。
そんな不安が頭をよぎり、何とか踏みとどまることができました。

当時、同じ投資に関わっていたFさんやOさんにも相談しましたが、彼らもまた返金のない被害者で、どうすることもできない状態でした。

投資先の代表者たちからは「来月には入金します!」といった希望を持たせる連絡が定期的に届き続けていて、
「もしかしたら、本当にお金が返ってくるのではないか」というわずかな望みを捨てきれずにいました。
とはいえ、最悪の事態も視野に入れて動かなくてはならない時期に差しかかっていたのも事実です。

自己破産の決意と、妻への告白

このまま返済がなければ、いよいよ自己破産しか選択肢がなくなる。
まだ確定ではないものの、その可能性が非常に高くなってきたため、覚悟を決めて早めに妻に伝えるべきだと判断しました。

そして2022年4月、私はすべてを妻に打ち明けました。

妻の涙、そして覚悟

妻の想像以上の反応

「実は、投資詐欺にあって、毎月の返済が苦しくて…自己破産をしようと思ってる」

そう伝えたときの妻の表情は、今でもはっきり覚えています。最初は何が起こっているのか理解できないような、戸惑ったような表情を浮かべていました。

それでも、私のことを信頼してくれていた妻は、ゆっくりと気持ちを整理しながらこう言ってくれました。

「あなたがそう決めたなら、もうそうするしかないよね。私は大丈夫だよ。むしろ、ずっと一人で悩んでたのに気づかなくてごめんね。辛かったよね。」

その言葉を聞いたとき、心が締めつけられるような気持ちになりました。
ショックを受けていたのは明らかだったのに、私のことを一番に心配してくれた妻。そんな優しさに、言葉では言い尽くせないほど感謝の気持ちが湧きました。

純粋でまっすぐな彼女の支え

その後、妻は自分の母に電話でそのことを伝えていましたが、電話の向こうで泣いているのが聞こえてきて、胸が痛みました。

妻は高校を中退し、長女を産んでからずっと必死に働いてきた人です。青春らしい時間も過ごせないまま、家族のために一生懸命頑張ってきました。
そんな彼女がようやく落ち着いて、「やっと幸せになれた」と思えたタイミングで、私がその幸せを壊してしまったのです。
どれだけ辛かったか、想像するだけで胸が苦しくなります。

『離婚しなかったの?』と言われたけど

あとから、妻が一番仲の良い友達にこの話をしたとき、「離婚は考えなかったの?」と聞かれたそうです。
ですが妻は、「離婚という選択肢は一切頭によぎらなかった」と言っていました。

たしかに当時は新婚でもあり、自他ともに認めるおしどり夫婦だったので、そう言ってくれるのも納得でした。
そして正直なところ、私自身も「妻から離婚を切り出される」なんてことは全く考えていませんでした。
楽観的すぎるかもしれませんが、それほどまでに妻との絆を信じていたのです。

でも、もし本当にあのとき「離婚しよう」と言われていたら、私はその場で気を失っていたかもしれません。
それくらい、私にとって妻の存在は絶対的でした。

だからこそ、今もこうして家族5人で笑って過ごせているのは、間違いなく妻の支えがあったからです。
本当に感謝しかありません。

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