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自己破産の手続き中に一番つらかったこと。支出明細・管財人とのやり取りで心が折れそうだった話

2023年、私は自己破産をしました。
理由は信頼していた人から紹介された「高利回りの物販投資」による詐欺被害です。
5000万円以上を投資し、返金もないまま事業資金が枯渇し、会社経営も続けられなくなりました。
事業で得た資産が次々と消えていく中、私の選択肢は「自己破産しかない」という状況になっていました。

目次

はじめに

自己破産の手続きと聞くと、多くの人は「裁判所に申し立てれば終わり」と思うかもしれません。
しかし実際には、書類の準備や破産管財人とのやり取り、精神的なプレッシャーなど、想像以上に長く苦しい道のりでした。
この記事では、私が実際に経験した「自己破産手続き中に本当につらかったこと」をお伝えします。

破産申し立てまでの期間

クレジットカード明細の準備だけで心が折れそうに

自己破産の申し立てには、過去の収支の詳細な証拠が必要になります。
私の場合、物販ビジネスで10枚以上のクレジットカードを使用しており、その明細を何年分も用意する必要がありました

ネットからダウンロードできるものもありましたが、1年以上前のものは郵送依頼が必要な会社も多く、問い合わせ作業にも相当な時間を取られました。

さらに面倒だったのが、「この支出は何に使ったのか?」をすべて説明すること。
仕事とプライベートが混ざっていたため、記憶を手繰り寄せるように手帳やLINE履歴を見返して必死に思い出しました。

免責されるまで、お金を自由に使えないつらさ

個人事業としてリスティング広告の運営をしていたので、収入が月100万近い時もありました。
しかし、たとえ収入が少し増えたとしても、「無駄遣いをしてはいけない」「誤解されないようにしないと」という思いから、徹底的に節約生活をしていました

家族とお出かけしたり外食する日もありましたが、お金を使うことに罪悪感があり、妻にも我慢させていたこともあり、心から楽しめなかったのが本音でした

破産申し立て後

自己破産手続きと管財人とのやりとり

自己破産を申し立てると、裁判所から破産管財人の弁護士が選任され、資産の調査や換価処分が始まります。
破産管財人の弁護士さんからは、これまでの支出の詳細な説明や証明書類の追加提出を頻繁に求められました。
少しでも不自然な使途があると、すぐに問い合わせが来ます。

LINEでのやり取りが中心だったのですが、通知が来るたびに心臓がドキッとするほど。
「何を聞かれるんだろう…」「これは問題になるのでは…」と、確認するのにも勇気が必要でした。
すぐに答えられない質問に対して、冷静に対応することがとても大変で、何度も気持ちが折れそうになりました。

避けられない財産没収

破産管財人の弁護士さんとのやり取りは本当に大変でした。
特に「100万円以上の財産はすべて処分対象」という換価処分の現実が重くのしかかりました。

私の場合、収入のメインはリスティング広告によるもので、換価処分のころには400万円以上の資金がありました。
ただ、破産申立時点でのその収入や、口座にあった現金はほとんどが「財産」として没収対象に。
しかも、現金だけではなく、保険の解約返戻金や、賃貸住宅の敷金・保証金なども「財産」として換価の対象になります。

最終的に手元に残った現金は80万円にも満たない額でした。
努力して積み上げてきた収入や財産が、自分の意思ではどうしようもなく取り上げられていくのは、正直とても辛い体験でした。

家族の支えがあったからこそ

そんな中、唯一の救いだったのが、家族の存在です。
特に妻は、どんなときでも笑顔で私を励まし、子どもたちの前では明るくふるまってくれました。

周囲の人たちには、私たちが自己破産の渦中にあるなんて思えないほど、幸せそうな家族に映っていたそうです。
実際、私も妻の笑顔と子どもたちの元気にどれほど救われたかわかりません。

特に妻が「免責が下りたら、結婚式を挙げよう」と言ってくれたことが、私の心の支えであり希望でした。
妻とは、長女が6歳のときに結婚しました。
その後すぐに次女を妊娠、そして年子で長男が生まれたため、式は後回しになっていましたが、
「免責が下りてしばらくしたら子どもたちも歩ける年齢になるから、一緒に式を挙げよう」と話していました。

破産申し立てから免責が下りるまでの約1年間、その目標を励みに、私はなんとか踏ん張ることができました。

免責許可決定後

免責とその後の人生

そして1年後、ようやく裁判所から「免責許可決定」が下りました。
心からホッとしたと同時に、「ここからが本当の再スタートだ」と気が引き締まる思いもありました。

当時、リスティング広告の収益が落ちてきており、生活基盤の立て直しも急務でしたが、それでも「やっと一区切りがついた」と思える日でした。

そして免責決定からさらに約1年後、私たちは無事に結婚式を挙げることができました。
子どもたちも歩けるようになっていて、家族5人そろって笑顔の写真を残せたことは、一生の思い出です。

経験を通して学んだこと

振り返って思うのは、自己破産=終わりではないということです。
たとえ詐欺に遭ったとしても、自分の判断や責任を認め、迷惑をかけた相手に誠実に向き合う姿勢が大切です。

破産管財人の弁護士とのやり取りも、感情的にならず冷静に、丁寧に対応すること。
そして何より、支えてくれる人への感謝を忘れないこと。それが、精神的に崩れずにいられた一番の理由でした。

まとめ

自己破産手続きは、単に「借金を帳消しにする制度」ではありません。
精神的にも肉体的にも、真剣に向き合う必要がある制度です。

ですが、それを乗り越えた先には、新しい人生と家族との絆の深まりがありました。
これから手続きを考えている方の不安が少しでも軽くなることを願って、この記事を終えます。

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