MENU

なぜ信じてしまったのか?投資詐欺に騙されたときの心境

投資という言葉に、どんなイメージを持っていますか?
安定した資産形成?一攫千金のチャンス?
私もかつては、ビジネスで成果を出したことを自信に、ある投資話に乗りました。
それは信頼していた人からの紹介で、「確実に儲かる」「毎月のリターンがある」と聞いて、疑うことなく契約してしまったのです。

しかし、それは詐欺でした。
気づいたときには、すでに数千万円のお金が消え、家族との生活も精神状態も大きく揺らいでいました。

この体験が、同じように不安を感じている誰かの役に立つかもしれない。
そんな思いで、この記事を書いています。

目次

あの時、なぜ信じてしまったのか?

思い返せば、最初のきっかけは「信頼」からでした。当時の私は、物販を通じて年商2億円弱を達成し、複数のコンサルにも参加していました。そこで出会ったある人物――税理士や社労士の紹介、補助金、会計、M&Aなど、幅広い知識を教えてくれた信頼のおけるコンサルタント――が、高級腕時計を海外から独自ルートで仕入れて販売するという投資話を持ちかけてきたのです。

「仕入れと販売はこちらで行うので、投資していただければ月利5〜10%のリターンを還元します」という話でした。利回りの高さに一瞬ためらいはありましたが、「クローズドな情報とはそういうものだ」と自分に言い聞かせてしまいました。実績や人脈のある人だからこそ、個人では到底たどり着けない案件が回ってくるのだと思い込んでいたのです。

2つ目の案件は、コンサルで知り合った同業者からの紹介でした。彼とはプライベートでも親しく、性格も慎重で信頼していました。そんな人が紹介するのだから大丈夫だろうと、私は完全に思考を停止していました。今振り返ると、「この人が紹介するなら間違いない」という感覚は、思考を放棄して「楽をしたい」と願った自分自身の甘えだったのかもしれません。

「何かあっても、きっと責任を取ってくれるだろう」とすら思っていました。今思えば、それこそが最大の落とし穴だったのです。

お金が消えていく中で感じたこと

1つ目の投資は、半年間は引き出しができず、1か月に1度5%の入金があるというものでした。最初の1か月は予定通りに入金され、2か月目は遅れがあったものの一応支払われたため、「まだ大丈夫」と安心してしまいました。ですが、3か月目以降は入金がなくなりました。

2つ目の投資は、「5-ALA」というコロナ予防に効果があると言われる商品の販売代行という話で、こちらは2週間ごとにリターンがあり、引き出しもいつでも可能だと言われていました。最初の4〜5か月は問題ありませんでしたが、ある時期から入金が止まり、出金もできなくなったのです。

その頃から、私は正常な判断ができなくなっていました。入金が遅れても「もう少し待てば入るだろう」と思い込み、他の方法で取り戻そうとしてFXを始めたものの、それも損失を膨らませるだけでした。眠りが浅くなり、常に不安に追われて気分も落ち込み、精神的に追い詰められていました。それでもなお「まだ大丈夫」と自分を騙していたのです。

詐欺案件を紹介してしまった友人とは「大丈夫かな」と毎日のように話していました。彼の投資額は私より少なかったため自己破産には至りませんでしたが、それでも私は彼に対して申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

市の無料弁護士相談では、「これは間違いなく詐欺です。たぶん返ってこないですね」とあっさり言われ、だめもとで言った相談ではありましたが、現実を突きつけられ、私は言葉を失いました。

立ち直るために必要だったもの

本格的に動き出すきっかけとなったのは、義母の紹介で訪れた弁護士事務所でした。最初から2人態勢で話を聞いてくださり、2〜3時間かけて丁寧にヒアリングしていただきました。「ここなら信頼できる」と感じた私は、その日のうちに自己破産を決意しました。

弁護士には、すべてを正直に話しました。破産管財人とは別に、何でも相談できる弁護士の存在は大きな心の支えでした。反省文の添削や、管財人弁護士へのメッセージの作成など、不安なときはいつでも対応してくださり、その支えがあったからこそ、私は立ち直ることができたのです。

詐欺師は後に逮捕され、ニュースにもなりました。「どうせ長くても10年程度の懲役だろう」と聞きましたが、もはやお金が返ってくるわけではありません。怒りや悲しみすら通り越し、「もうどうでもいい」と感じていました。

これから投資を考える人へのメッセージ

投資に興味を持つことは、決して悪いことではありません。むしろ、これからの時代を生き抜くためには「お金に働いてもらう」という考え方はとても重要だと思います。しかし、その一歩が「詐欺への入り口」になることもあるということを、私は自らの経験を通して痛感しました。

私の実体験をもとにした大切なメッセージを2つの視点からお伝えしたいと思います。

信頼より、仕組みを信じましょう

私が詐欺被害に遭った最も大きな理由は、「誰が言っているか」で判断してしまったことでした。

信頼できる友人、実績のあるコンサルタント、紹介してくれた同業者。そうした「人」を信じて、「この人が言うなら間違いない」と思い込んでしまったのです。しかし、どれだけ信頼している相手でも、その人自身が誤った情報を信じている可能性もありますし、意図的に嘘をついていることだってあります。

投資を判断するうえで本当に大切なのは、「仕組み」です。

  • どのように利益が生まれるのか
  • 誰が関与しており、どこにお金が流れるのか
  • 契約書や会社情報などがしっかり存在しているか
  • リスクや損失の可能性について明確に説明されているか

こうした情報がすべて明示されていることが、投資案件を見極める最低限の条件です。

私が被害に遭った投資話では、契約書もなく、説明資料はたった1枚のPDFのみでした。当時は「クローズド案件だから形式ばらなくてもいいんだ」と自分に言い聞かせていましたが、今思えば明らかにおかしな話です。「信頼」だけを頼りに、肝心の「仕組み」を一切見ていなかったのです。

信頼は時に裏切られますが、仕組みは嘘をつきません。人ではなく、構造や仕組みで判断する。これが、投資で大切な視点です。

「うまい話」には必ず落とし穴があります

「絶対に儲かる」「元本保証」「毎月10%の利回り」

こういった甘い言葉が並ぶ投資話には、必ず落とし穴があります。なぜなら、本当に誰でも簡単に儲かるような仕組みなら、とっくに大手企業やプロの投資家が参入しており、私たち一般人のところに回ってくることはまずないからです。

私が学んだのは、「理解できない投資には絶対に手を出さない」ということです。

どんなに魅力的に見えても、その投資でどうやって利益が生まれるのかが自分の言葉で説明できないなら、その時点でやるべきではありません。「これはプロ向けだから難しい」とか「細かいことは気にしなくていい」と言われたら、それは危険信号です。

本当に安全で透明性のある投資案件は、誰が聞いても理解できるように構成されています。逆に「何となく儲かりそう」と思わせる投資こそ、詐欺の温床です。

「損をしたくない」と思うなら、まずは焦らず勉強することが最短の近道です。知識がなければ、どんな話も“それっぽく”聞こえてしまいます。だからこそ、「自分には知識がないからこそ任せたい」と思うのではなく、「知識がないならまず学ぶ」ことを心がけてください。

私自身、「楽して稼げる道があるかもしれない」と期待していました。でも、そんな話は存在しませんでした。地道に学び、コツコツと実績を積む。それが結局、一番早く確実に資産を増やす方法だと今は思っています。

まとめ|騙された経験は消えませんが、未来は変えられます

私は5000万円以上の被害を受け、最終的に自己破産という選択をすることになりました。お金は戻ってきませんし、失った信頼や時間も元には戻りません。

この経験は一生消えることはないでしょう。でも、その出来事をどう受け止め、どう活かしていくかは自分次第です。

私にとってこの失敗は、とても大きな痛みでした。でも、その経験があるからこそ、今こうして「次に同じような被害者を生まないために発信したい」と思えるようになりました。

もしかしたらこの記事を読んでいる方の中で、同じように不安や絶望を感じている方がいるかもしれません。ですが詐欺に遭ったことは決してあなたのせいではありません。冷静な判断を奪うように仕組まれていたのです。

どうか自分を責めすぎず、焦らず、一歩ずつでも未来へ向かって歩んでいってください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次